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地図の誕生 もりゆか×龍谷大学

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11 months ago

こんにちは。Kaoruです。

さて、みなさんはマップを作ったことはありますか?

お子さんがいる方は学校から自宅までの道案内図を描いたことがあるかもしれませんが、おそらくマップを「見る」ことはあっても「作る」機会というのは少ないのではないでしょうか。

まして、イラストマップがどのようにして作られているかというのは、多くの方にとって謎に包まれている世界だと思います。

今回はそんな謎に満ちている「地図の製作」の世界を紐解くべく、龍谷大学さんの創立380周年を盛り上げるプロジェクト、「深草・稲荷まちあるきマップ」での地図製作に密着させていただきました!

このプロジェクトで龍谷大学さんからいただいた大きなミッションは「深草・稲荷地域周辺のさらなる魅力を発信できるような地図にしたい!」ということ。

マップ製作を通じて学生達が深草地域について考え、魅力を見出し、発信するとともに、地域の方に改めて地域の魅力やポテンシャルを感じてもらい、マップを活用した地域交流を行いたいという思いを持たれていました。

そんなミッションに応えるべく、地図製作を依頼したのは京都にアトリエを構え、関西を中心に活躍中のイラストレーター、もりゆかさんです。

これまでにも京阪電車の「1日乗車券」で使用された貴船・鞍馬エリアのマップや、現在進行形で発行されている京都市下京区東エリアを深掘りする「しもひが新聞」でのマップなど、京都のマップを数多く手がけられています。

【現地での取材は大事!】

そんな彼女と一緒に、観光客も地元の人も楽しめるマップを目指して地図製作を開始しました。

と、その前にクライアント側に決めてもらうことが二つあります。

1.具体的にどのエリアをマップにするのか
2.どのスポットをイラストで表現したいか

これを決めないことには始まりません。
この二つが揃って初めて、現地での取材を開始できるわけですね。

そして8月某日、真夏の太陽がギラギラと照りつける中、もりゆかさんと共に現地取材を行いました。

1日目は徒歩で移動する観光客を想定して、徒歩で移動できるであろう範囲を中心に回ります。

前述でも少し触れましたがメインの通りから一本道を逸れると自動車ではまず通れないような、散歩道として非常に魅力的な道がたくさんあります。(散歩好きとしてはたまりません)

取材では日本で唯一、伏見人形を作られているお店、「丹嘉」のご主人にお話を聞いたり、歯のお地蔵さん「ぬりこべ地蔵」では虫歯にならないようにお参りしたり、「石峰寺」では晩年の伊藤若冲が手がけた石仏、「五百羅漢像」に圧倒されたりと、自分達でもそのエリアの魅力を発見しながら行いました。

取材でのポイントは当たり前かもしれませんが、いただいたリストを中心に「実際に動いてみること」だと思います。
そうすることでそのエリアの雰囲気や、ネットや書籍だけでは発見できない魅力にたくさん気づくことができるでしょう。

そして二日目は移動手段を徒歩から自転車に変えて取材を行いました。
行動範囲が広がるのでランドマーク同士が多少離れていても大丈夫です。
また、「この道は車通りが多いな」というような徒歩移動では気づけなかったかもしれない視点に気づくことができました。

また、行った先々や食べたものは全て写真に納めます。
絵を描くときの資料となるので様々な角度から撮影することがポイントです。
それと、そこで抱いた感想や印象は地図製作の上で大きな助けになるので、ぜひ覚えていてください。

そして地図製作は次の段階に進みます。ここでは主にラフの作成です。
全体の構成を組み、それを共有、確認、修正を重ねます。

このやり取りが個人の創作物とは大きく異なるところですね。
念入りに確認することで後々の変更を減らすことができます。

では順を追って見てみましょう。

【ラフ〜下書きへ】

その1

マップ中央にイラストが密集しているため、地図の南北の辺りが寂しい印象。これではキャラクターを描き込む隙がありません…(しかしながらラフとは言いつつかなりの仕上がりです…!)

その2

ということで、紙のサイズを大きくして、それぞれのランドマークがしっかりと見せれるように真ん中の密集していたところを南北に広げ、下の方のイラストがバラバラに見えてしまっていた部分はまとまりを意識してぎゅっと真ん中の方に寄せて全体のバランスを意識しました。

また、地図の南に位置する藤森神社には「駆馬(かけうま)神事」の様子を追加しています。

その3

いままで南北(上下にのびる道)の道が多かったのですが、ここで東西(左右にのびる道)の道も追加しました。また、もりゆかさんの描くマップの持ち味でもある、マップ中に出てくるキャラクターを決定。

設定はこのマップのエリアに遊びに来た女の子と男の子です。

今回選ばれたのは、次の画像の3番目の男女です。決め手となったのは学生さんの「男の子がカメラを持っているので探索しようという意欲が伝わる」というものでした。

その4

ここでラフにもキャラクターが追加されます。
キャラクターが入ることで、雰囲気が一気に和らぎますね。

その4

石峰寺の山門の追加や藤森神社の駆馬神事の様子の微調整など、細かい調整を行います。

そして視点は四隅の余白に移ります。
製作時期は真夏だったのですが、インクラインの桜や東福寺の紅葉など四季を表現できないだろうかとこのエリアの風景を思い出しながらもりゆかさんと一緒にアイデアを出し合いました。

疎水沿いの桜

藤森神社の紫陽花

また、水路などの位置や描き込み方も細かく微調整を行います。

その5

本描きの紙に下書きをして、さらに龍谷大学さんからのアツい要望を受け、四隅を深草瓦で作られた四神がモデルとなったモチーフを追加。

もりゆかさんテイストのユルめの四神となりました。かわいいです。

と、ここまでがラフ〜下書きの流れでした。
この後はついに筆入れをしていきます!

【そして本描きへ】

線がくっきりと見えることで絵全体が引き締まって印象がガラリと変わりますね。

次に色つけへと進むわけですが、アトリエにお邪魔することができたので実際に描かれている様子をご紹介したいと思います!

【アトリエにお邪魔しました!】

一つ一つ丁寧に。

お気づきの方もいるかもしれませんが、この段階ではキャラクターの着ている服や道に色がはいっていません。
これは最後に全体の色のバランスを見て決めるからだそうです。

このように取材の時に撮影した写真を確認しながら作業を進め、キャラクターのセリフなども取材の時のことを思い出しながら描いているそうです。

せっかくなので、今回の地図製作についてもりゆかさんに少しお話を伺いしました。

【地図の作者、もりゆかさんへインタビュー!】

– マップの中で気に入っているところはどこですか?

藤森神社の「駆馬神事」の様子は伏見人形がモデルなんですけど色が鮮やかで好きです。
あと「まんじゅう食い人形」も気に入ってます。
まんじゅう食い人形は実際に作っている方に会えたので思い入れがありますね。

– マップを描く上で難しかったところはありますか?

古い建物は今までも結構描いてきたんですけど、新しい建物をあまり描いてこなかったので挑戦でしたね。

さらに龍谷大学の成就館はまだ建設中の建物で、いただいた建設予定イメージのCG画像を見ながら描いたんですけど、まだないものを描くので角度とか難しかったです。
「本当にこれでいいの?描いちゃうよ?」って思いながら描いていました。笑

– 現地での取材で印象に残っているところはありますか?

石峰寺の伊藤若冲たちが作った「五百羅漢」の石仏は面白かったです。
たまたま手に入れた古雑誌「季刊銀花」によると、若冲が晩年の頃に弟子たちと作ったもので、石の表情に合わせて形を決めていたみたいです。

きっと石仏の方が絵より長持ちするだろうと思って彫ったと思うんですよね。
ここはぜひ行ってみて欲しいです。

・・・

取材の時のことを交えながら楽しくお話してくださいました。
ぜひ地図の中でまんじゅう食い人形や藤森神社を探してみてください!

そしてアトリエにお邪魔した数日後、原画が完成。
スキャン専門の業者さんに超高精細スキャンを依頼し、データが到着した後はパソコンでの作業に移ります。

今回日本語、英語、中国語の3言語を併記をするということで、日本語以外の言語は別紙に描き、それをパソコン上で合成するという手法をとりました。

【地図の誕生!】

誤字などの細かい修正をし、数日後完成したのがこちら、「深草・稲荷まちあるきマップ」です!

地図を楽しむ際はバーにあるランドマークピンの「ON/OFF」ボタンをご活用ください。

10/1には京阪電車の「龍谷大前深草駅」の前でお披露目セレモニーがあり、京都市長をはじめ地域の方までたくさんの方に知っていただける機会となりました。

常設でも龍谷大前深草駅の改札を出てすぐのところにあるサイネージで表示しています。
今後もたくさんの人に見ていただけると嬉しい限りです。

また、本のアイコンを使ったランドマークピンでは、龍谷大学の学生さんが「伏見人形」を主なテーマとし、地域の魅力について詳しく、かつ面白くまとめられています。
また、深草・稲荷地域いのランチについても紹介したピンもあります。併せてお楽しみいただければと思います。

【最後に・・・】

今回地図製作の裏側に迫りましたが、その世界はとても奥深いなと改めて感じることができました。
アーティストやデザイナーによってもその手法は大きく変わりますが、少しでもイラストマップに興味を持つきっかけになれば幸いです。

そして、これからマップを描いてみようと思っている方やアーティストにマップの製作を依頼しようと思っている方にとって、この記事が僅かながらでもヒントになれば嬉しく思います。

もし深草や稲荷に行く機会があれば、ぜひこの「深草・稲荷まちあるきマップ」を使ってみてください。
きっと今まで知らなかった場所に連れて行ってくれる事でしょう。

___

もりゆか

京都市立芸術大学卒業。日本画をルーツに持ち、繊細な線と作中に登場する個性豊かなキャラクターが持ち味のイラストレーター。Strolyではこれまでにも貴船・鞍馬のマップを手がける。別名義、森夕香では日本画家として勢力的に活動中。11月には作品展も開催予定。
Web Site:https://moriyukaillustration.tumblr.com/
Instagram:https://www.instagram.com/niwatoriusagi/

深草・稲荷まちあるきマップ

創立380周年及び駅名変更を記念して、深草・稲荷地域のさらなる魅力発掘を目的に龍谷大学政策学部只友ゼミの学生が地域を取材し、制作したプロジェクト。
Stroly URL:https://stro.li/ryukoku_fukakusa/1568108627?r=f 
使用画材:透明水彩絵の具

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