ご自身の経験や体験を元に、地域の魅力を地図で発信する奥西しろさんへのインタビュー、後編です。
(前編はコチラから:地域の魅力を発信するマップクリエイター!奥西しろさんにインタビュー前編)
続いては、これまでに描かれた印象深い地図についてのお話をお伺いしました。
ダムになってしまった集落の地図を作るお話はとても興味深いですよ!
それでは後編もお楽しみください!
・・・
【印象深い地図】
ー それでは次の質問ですが、マチオモイ帖など色々と見せていただきましたが、これまでのプロジェクトなどで印象深いものはありますか?
お仕事で関わっているものはStrolyさんにアップ出来ないのですが、仕事でも地図をたくさん作っていて…
特にこれが気に入っています。
これは型染めやハンコでイラストを作ってますね。
型染めは 染めたい部分を切り抜いた型に、型染め用のブラシでグリグリ〜って絵の具をこすって染めていくんです。
これはモノクロでスキャンしてパソコンに取り込むので黒で塗ってます。別のものでは絵柄が細かいものは型染めでは厳しいのでハンコで表現しています。
ー これ一枚作るのにどのくらいの時間がかかるんですか?
この地図は納期が無くて、2週間はかかっていないかな。
これは山のテーブルさんという、南山城村の廃園になった保育園をリノベーションしたカフェレストランが作られているフリーペーパー「やまびこ」用に描きました。
ーちなみにこの道はどうやって描いていますか?私は道を描くのが不得意で標準的な地図からトレースしたりしてるんですけど、、
これはトレースはしていなくて、アバウトですね。正確に描く時はトレースをする場合もあります。
もう一つ地図を紹介すると、「むらさんぽ」というものがあります。
これは南山城村の人にお話を聞いて、それを地図と冊子にまとめる活動なんです。1号では廃校となった田山小学校をテーマに地域の人から歴史や思い出話を聞いて、こんな物語があったんだよって冊子にして残しています。
むらさんぽは3人のチームで作っていますが、私は取材、編集、デザインと全部やっています。冊子と一緒にお散歩マップもついてるんです。
ー すごいかわいい!これは水彩ですか?
水彩です!
そして、このマップの前身としてあるのがStrolyにもアップしている「たやまっぷ」です。
2016年にあったイベントの中で「まち歩きをしたい」という話があって、このマップ作りました。
この地図に描いているおじいちゃんから借りた本に地域の歴史がとても細かく載ってたので、それを参考に作っています。
むらさんぽの2号では高山ダムに沈んだ集落を取り上げたんですが、これがまた苦労しました。
ダムが出来る前にあった集落に、実際に住んでた人にお話を聞いて地図を作ったんです。
当時の地図っぽいものは見つかったんですけど、林道や農業用の道も描き込まれていてどれが主な道かわからず、描き起こすのが大変でしたね。
当時を知る人に「ここはどうでしたか?」というのを聞いて、正確ではないけどこんな感じだねという地図を作ったんですよ。
ー 生活で使ってた道かっていうのはたしかにこれだけだと分からないですね。そしてそれがこうなるわけですね。
そうです。地図には、聞いた思い出話も載せています。
イラストはペンで描いて、パソコンで着色してますね。
ー ダムに沈んだエリアの方はこの辺に住まわれているんですか?
はい、この時は村内に住む9人の方にインタビューをしました。その内の7人は実際に沈んだ集落に住んでいた方です。
この集落のお話は「今、聞いておかかないと未来に残せない」と思って。そしたら取材をする内に大量に沈んだ集落の写真も見つかったんです!
ー 本当にこういう後世に残せなかった場所というか、地図から消えてしまった町がたくさんあるんでしょうね。
ありますね。特に日本各地のダムには同じようなことがあるでしょうね。
昔の写真だけを載せてもイマイチ興味が湧かないかもしれませんが、実際に聞いたお話を入れてるっていうのがミソだと思います。
「むらさんぽ」では言葉も文化だと思うので、それもきちんと残したくて全部録音したものをそのまま書き起こしているんですよ。
ー 今までのものを色々見せていただきましたが、デザイナーとしてのこれからの夢はありますか?
以前から茶畑マップを作りたいなと思ってるんですけど、なかなか実行に移せていませんね。
ー 茶畑マップっていうのはどういった情報を取り上げるんですか?
観光に使える『茶畑マップ』作りたいんです。でも茶畑に無断で入ったりしたらいけないので、茶畑鑑賞のマナーも載せる必要があると思っています。
田舎だと、この道で合ってるのかなって不安になりますし、難しい道が多いのでその辺りを分かりやすく、楽しめる地図を作りたいなと思っています。
ー そうなんですね。では茶畑マップを楽しみにしていますね。
「たやまっぷ」や「みなみやましろ村マップ」などこれまでの作品でも南山城村の地図が多いと思うのですが、南山城村のどういうところに魅力に感じていますか?
元々都会育ちなので、子どもの頃からずっと田舎に憧れていました。
日本全国を旅する中で、なんとなく住む場所も考えながら旅をしていたんですけど、最初は南山城村の隣の笠置町に移住したんです。
そして、2017年にオープンした道の駅の立ち上げの仕事がきっかけで、南山城村に通うようになり、結果的に結婚もしました。
でも最初から南山城村を希望していたわけではなくて、偶然にも色々なご縁が重なって辿り着いた感じです。移住者も多いですし、地元の人も面白いです。
ー ではこう言った地図をどんな人に見てもらいたいですか?
南山城村に興味持ってくれた人ですよね。そして、できたら実際に来てくれる人。
田舎ってそこに関わる一人一人が観光大使だと思ってて、各自が友達を連れてきて、村を案内して村のファンを作るっていうことが大事かなと思っています。なので、そのきっかけになればと思って私自身、色々な活動をしています。
ー 奥西さんの地図から村の魅力がすごい伝わってくるので、興味のきっかけとしてすごく入りやすいです。
地域を表現するのに地図は一番有効かなって思いますね。
「どんなとこなん?」って聞かれたら「はい、どうぞ」ってこれを見せればいいので。
ー たしかに文字ベースの本を一冊渡されるよりも、地図を渡される方が親切というか、自分の行動にすぐに結びつきやすいですね。
他にも村内のバイパス開通記念のうちわの仕事では、うちわに地図をデザインしていたり、道の駅で売っているオリジナルのガムテープも、地図が描かれたりします。南山城村のデザインを作るとなると何かと地図になってしまうんですよね。
ー それはやはり地域のことを伝えたいっていうのがあるから地図になるんですかね。
そうなんですよ。例えば茶畑だけのイラストでもいいんですけど、「村の魅力は茶畑だけじゃないしなあ」とか思うと地図にるんです。
ー 茶畑マップを作ることも夢の一つだと思うんですけど、これからも地図を描いていく上で夢はありますか?
結果的に自分の描いた地図を見て行動してくれる人が増えたらいいなというのはありますね。
ー いいですね。地図を見て体験や行動が変わるということは私たちも掲げていることなので引き続き奥西さんの地図を楽しみにしています。では最後にStrolyに何かメッセージがあればお願いします。
Strolyさんの活動やサービスは面白いなって思っているので、これからも期待しています。
ー 今日はありがとうございました!私たちもこれからのマップも楽しみにしています。
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