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地図で日本観光してみませんか?

部屋から出ずとも名所はめぐれる(2)

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デザイン地図の可能性に着目するStrolyが世界各国から収集したコレクションの整理について、ゲストライターの高野さんに書いて頂きました。
3回にわたりその模様を紹介いたします。今回はその第2回です。

こんにちは、高野鉄平です。

突然ですが、みなさんは旅行に行ったとき、空港や駅などにある、観光地図やガイドブックがズラリと並んだコーナーを利用したことがあるでしょうか?
「県内の道路が詳しく載った地図」「近くの飲食店がわかる地図」「お祭りなどイベントの案内」といったものをまとめて入手できるので、僕は旅先に着いたらとりあえずあのコーナーに行き、気になったものは全部貰うようにしています。

 

貰った中で旅行中に使うのはせいぜい1つか2つで、あとは全部荷物になるのですが……。
帰ってから使わなかった地図を眺めて「次があったらここに行ってみよう」と考えるのが、小さな楽しみです。

一言に「観光地図」といっても、地域の道路や施設などを概観できるものから、「まち歩き地図」や「お食事処案内」など、目的に特化して史跡や店を紹介するものと、多くの種類があります。
また、地図の形式も、主要な道路から細い通りまで正確に見ることができる、いわゆる「普通の地図」を使ったものや、綺麗でかわいいイラストで描かれた地図などさまざま。

 

中には、こちらの岐阜市が発行している『まちなかのおもてなしトイレMAP』のような観光地図も。「観光客が利用できるトイレの地図」という超限定的な内容ですが、旅先でトイレを探し回った経験がある方なら、この心遣いの嬉しさがわかると思います。

整理作業の中で多くの観光地図を見て、地図にはその場にいれば観光の道案内になることはもちろん、その場にいなくても、描かれた地域のことを想像させ、行ってみたいと思わせる魅力がある……そんなことを思いました。
今回は、整理した日本の地図4879点(2019年現在)から、特徴的なものを数点ご紹介します。

 

 

京都の歴史と文化遺産をめぐる『京都歴史散策マップ』

金閣寺や二条城などの社寺・史跡や、紅葉や竹林といった自然景観を楽しむために、毎年多くの観光客が訪れる京都。
長い歴史を持つだけあって、見どころは数え切れないほどあり、それを紹介する地図もまたさまざまです。

最初にご紹介するのは、京都市が発行している、京都市内の有名な遺跡や文化財を歩いてめぐることができる『京都歴史散策マップ』。
地域ごとにコース分けされていて、全40コース。1日1コースとして、このシリーズだけで1ヶ月以上は京都観光を楽しむことができます。

 

また史跡の紹介だけでなく、そこから何がどのように見つかったのかという、発掘調査の様子も併せて紹介されています。
ただ歩くだけでも多くの社寺や史跡を見ることができる京都ですが、40点もの地図から京都の歴史を眺めると、あらためてその雄大さを感じられるでしょう。

 

 

京都の商店街の魅力を発見『ざ・しょうてんがいど』

京都の見どころは歴史だけではありません。
こちらは『ざ・しょうてんがいど』という、京都の「商店街」にスポットを当てた観光地図です。

 

商店街にある食事処や土産物屋だけでなく、日用雑貨の店まで紹介されています。
「歴史」から「商店街」に、地図の視点を変えてみるだけで、数百メートルの商店街にさまざまな特色を持つ店が立ち並ぶ、買い物のまちとしての京都が見えてきます。
同じ地域の地図でも、伝える目的や表現によって異なる姿のまちへの案内になるというのは、地図の面白さのひとつでしょう。

 

 

ほんまにおもしろい大阪の“まち” 『大阪あそ歩』

3つ目にご紹介するのは、大阪のまち歩き地図『大阪あそ歩』です。地区ごとに史跡や名所を紹介し、コースに沿って歩くことで、大阪の“まち”の歴史や文化をよく知り味わうことができます。
『京都歴史散策マップ』以上にたくさんのコースがあり、なんと全部で150コース。
1日1コース歩いたとしても、約半年かかる計算です。制覇したら、ちょっとした自慢になるかもしれません。
Strolyには、そのうち25コース分の地図があります。

 

可愛らしくユーモラスなイラストがたくさん描かれたた地図は、眺めているだけで大阪のにぎわいの中にいるような気さえしてきます。
また、コースの見どころには、その歴史やエピソードについて簡単な紹介もあり、大阪に親しみを感じる魅力が詰め込まれています。

 

 

地元の人の“とっておき”『平泉再発見絵地図』

最後にご紹介するのは、岩手県平泉市の人々が制作した『平泉再発見絵地図』です。
平泉といえば、源頼朝に追われた義経が身を寄せた地であり、国宝の「中尊寺金色堂」が有名な、歴史と文化に満ちた地域。
2016年には、金色堂を始めとする建築物や遺跡が世界遺産に登録されました。

 

『平泉再発見絵地図』が案内するのは、そんな有名どころの観光名所ではなく、観光ガイドには載らない、知らずに行けば見逃してしまうような、けれど平泉に暮らす人々が、地元住民ならではの視点で伝えたいとオススメする「とっておき」の場所です。

やわらかなタッチのイラストで紹介されたオススメスポットは、「平泉のここが好き!」という地元愛に溢れていて、地図を見ているだけでも楽しく、また世界遺産だけではない「地元の人が愛する平泉」を実際に見てみたいと、旅行欲を刺激してくれます。

 

以上、整理を行なった日本の地図から4点(『トイレMAP』も入れると5点)をご紹介させていただきました。
Strolyには、まだまだたくさんの地図コレクションがあり、眺めているだけでもその地域の魅力を楽しむことができ、また実際にそこを歩いてみたいという気持ちが湧いてくるものばかり。国内外合わせて約6000点の地図が集まるのも、わかる気がします。
みなさんも、旅行に行った際は、ぜひ色々な観光地図を手に取って見比べてみてください。

第3回目となる次回は、海外の地図を数点ご紹介したいと思います。
それでは、また。

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